エッサイ

■エッサイ (〈ヘ〉yisay,〈ギ〉Iessai) 

ユダ族でオベデの子.

ベツレヘム出身.

ダビデ王の父(Ⅰサム16:1).

サムエルは主にいけにえをささげるという名目で,新しい王を選ぶためにサウルの目を逃れてエッサイの家に行き,長男エリアブより順に7人の息子について油を注ぐ者を選んでいったが,主はこれらの者をよしとせず,最後に8番目の末子であるダビデに油を注ぐようにサムエルに命じた(Ⅰサム16:12).

エッサイは後になって妻と共にモアブの王のもとに身を隠した(Ⅰサム22:3‐4).

それはサウル王がダビデを憎んで迫害を加えた時に,ダビデが自分の両親の身辺について危険を感じたためと思われる.

エッサイの祖母はルツであり(ルツ4:17),ルツはモアブ出身であることから,ダビデがこのような配慮をしたと理解することができる.

「エッサイの子」という表現が聖書中にしばしば出てくる.

おもにサウルがダビデに対して何らかの軽蔑の意味を含んで用いている場合(Ⅰサム20:27,30,31,22:7‐9,13)と,メシヤ預言の中に「エッサイの根株」(イザ11:1),「エッサイの根」(イザ11:10)ということばが見られることから,エッサイの子(孫)が尊敬の念を持って用いられている場合とがある.

いずれにせよ「エッサイの子」ということばは,逆境時代,隆盛時代を通して,神の祝福にあずかって理想の王国建設をなし遂げたダビデの働きそのものに意味深く使用されている.

したがってある時には侮蔑の代名詞であったり,またそれが逆な立場でメシヤの称号の土台にもなっているのである.

詩72篇の最後の節,つまり詩篇の第2巻の終りに「エッサイの子ダビデの祈りは終わった」とある.

単にダビデと書くのでなく「エッサイの子ダビデ」となっているのは,おそらく「エッサイの子」という表現が伝統的に定着していたためと見ることができる.

彼の名は新約では次の4箇所に記されている.

すなわち系図の中に(マタ1:5,ルカ3:32),ピシデヤのアンテオケにおけるパウロの説教の中に(使13:22),パウロの手紙の中に(ロマ15:12),それぞれ出てくる.

エッサイ自身の人物評については旧約にはほとんど何も記されていないが,ダビデの功績をたたえるゆえにその父の名が記され定着した.

特にメシヤ預言においてはその希望の称号として「エッサイの子(または根,根株)」が,そしてイエス・キリストにおいては「ダビデの子」というメシヤの称号が確立している.