きんぞく 金属

■きんぞく 金属 

古代国家において,貴金属を手にすることは権威と富のシンボルであった.

主要金属のうちで最初に使用されるようになったのは,金,銅(青銅),鉄の順であり,聖書の中に記述されている最初の金属は「金」である(創2:11).

これらの金属はどれも純粋なものが自然に存在し採集できたので,早い時期から,おもに装飾品として用いられてきた.

アブラハムの時代より千年以上前のウルの時代,金属細工はすでにかなり進歩していた.パレスチナは金属鉱物の地下資源に乏しく,多くの貴金属は外国からの輸入によってのみイスラエル人に知られていた.

1.金.

金は最も古くからすべての民族に知られ,富のシンボルとされた.

古代には,ハビラ(創2:11‐12),シェバ(Ⅰ列10:2,詩72:15),オフィル(Ⅰ列9:28,22:48,Ⅱ歴8:18,ヨブ22:24,詩45:9)の地に産した.

アブラハムは多くの金や銀を持っていた(創13:2,24:22).

金は幕屋や宮の器物,宮殿や神殿の屋根,壁,扉を覆ったり,飾りとして使用された(出25:11,Ⅰ列6:21等).

また偶像にも用いた(出20:23,32:2‐4,31,詩115:4,イザ40:19,使17:29).さらに冠(詩21:3),首飾り(創41:42),耳輪(士8:26),腕輪(創24:22),指輪(出35:22)などが作られた.

金は比較的早い時代から貨幣に用いられた(エズ2:69,使3:6).

2.銀.

〈ヘ〉ケセフは,一般的には「銀」と訳されるが(創20:16,37:28,出3:22,民10:2,申7:25等),交易に用いられた時には「金(かね)」(創17:12,出12:44,21:34,アモ2:6,ミカ3:11等)とか,「金銭」(出22:7,申23:19等)とも訳されている.

銀の産地はアラビヤ(Ⅱ歴9:14)や,タルシシュ(Ⅰ列10:22,エレ10:9)で,交易や物々交換でイスラエルに入ってきた(エゼ27:12等).

量は重さで量られた(ヨブ28:15,イザ46:6).銀は装身具(創24:53,出3:22,雅1:11),冠(ゼカ6:11),楽器(民10:2),杯(創44:2),幕屋の板の台座,柱の鉤と帯輪,柱の頭のかぶせ物(出26:19,27:10,38:19),皿や鉢(民7:13),燭台や机(Ⅰ歴28:15‐16),偶像やその宮の模型(詩115:4,135:15,エレ10:4,使19:24)など多方面で使用された.

〈ヘ〉ケセフは,一般的には「銀」と訳されるが(創20:16,37:28,出3:22,民10:2,申7:25等),交易に用いられた時には「金(かね)」(創17:12,出12:44,21:34,アモ2:6,ミカ3:11等)とか,「金銭」(出22:7,申23:19等)とも訳されている.

銀の産地はアラビヤ(Ⅱ歴9:14)や,タルシシュ(Ⅰ列10:22,エレ10:9)で,交易や物々交換でイスラエルに入ってきた(エゼ27:12等).

量は重さで量られた(ヨブ28:15,イザ46:6).

銀は装身具(創24:53,出3:22,雅1:11),冠(ゼカ6:11),楽器(民10:2),杯(創44:2),幕屋の板の台座,柱の鉤と帯輪,柱の頭のかぶせ物(出26:19,27:10,38:19),皿や鉢(民7:13),燭台や机(Ⅰ歴28:15‐16),偶像やその宮の模型(詩115:4,135:15,エレ10:4,使19:24)など多方面で使用された.

3.銅.

銅は古代の金属の中で金と共に最も代表的なものであった.

それは銅の性質や色が金によく似ており,金の持つ展性,延性などすぐれた特性を多く備えていたからである.

代表的な産出地としてキプロス島とシナイ半島が知られているが,ヤワン,トバル,メシェクも輸出していたと記されている(エゼ27:13).

銅は地下や山から採鉱して精錬された(ヨブ28:2).

昔の製銅作業の跡がレバノンやエドムに残っている.

銅は単独では軟らかく,道具として不適当な材料だが,合金にすることにより硬く強靭になる.

しんちゅうは銅と亜鉛の合金であり,青銅は銅とすずの合金である.

4.青銅.

青銅は銅とすずをさまざまの割合で融合させて造った合金で,少量の亜鉛を含む.

一般には,銅88パーセント,すず10パーセントからなる.

人類は,金,銀の時代を経て青銅器時代に入り,次の鉄器時代に移行するまでのかなり長い期間使用した.

モーセは幕屋での祭壇の用具を青銅で作らせた(出27:3‐5,38:3‐8).

また武具や(Ⅰサム17:5‐6,38),盾(Ⅱ歴12:10),足かせ(士16:21)なども作られた.

ソロモンは神殿建設のために莫大な青銅を使用し,そのためツロ人フラムを雇い,ヨルダンの低地で鋳造した(Ⅱ歴4:11‐18).

5.鉄.

鉄の利用は人類の文明と共に非常に古い.

聖書では,トバル・カインが鉄を鍛える仕事をしている(創4:22).

モーセ時代に鉄製の器具があり(民35:16),バシャンの王オグは鉄の寝台を持っていた(申3:11).

ヨシュア時代には諸種の鉄製器具があった(ヨシ6:19,24).

カナン人は鉄の戦車を持っていた(ヨシ17:16,士1:19,4:3等).

また武具や(Ⅰサム17:7,黙9:9),建築用具(Ⅰ列6:7,Ⅰ歴22:3),彫刻用具(ヨブ19:24,エレ17:1),農機具(アモ1:3),その他(詩105:18,107:16,使12:10)に広く使用された.

6.すず.

パレスチナやその近くの国々では出エジプト以前から用いられていた.

精錬された(エゼ22:20)すずはおもに銅と合金にされ,青銅として利用された.

パレスチナでは,イギリスやタルシシュから輸入した(エゼ27:12).

銀や鉱石から精錬される時の金かすとされたこともある(エゼ22:18).

7.鉛.

鉛は有史以前から知られた金属の一つで,前5千年頃すでに,金,銀と共に用いられていた.

爪で傷つけられるほど軟らかく,加工,合金に便利で,銅と合金にしてしんちゅうを造った.

また,石に彫り込まれた文字に流し込み,明白で耐久性のある碑にした(ヨブ19:24).重し(ゼカ5:8),重り縄(アモ7:7)にも用いた.

8.銑鉄.

〈ヘ〉バルゼル・アーショース.

「鍛えられた鉄」という意味.

銑鉄は鉄鉱石から直接得た鉄で,質がもろく,鍛錬しにくいが,鋳造に適するので,なべ,かまなどに広く用いられた(エゼ27:19).

(吉岡 章)