■じゅうじゅん 従順
旧約聖書では〈ヘ〉シャーマ,新約聖書においては〈ギ〉ヒュパクーオーということばがおもに用いられている.
いずれも「聞いて……行う(従う)」ということが基本的な意味である.
そこから,「従順である,服従する,聴従する,応答する」などの意味が出てくる.
1.旧約聖書の例.
アダムが「妻の声に聞き従い,食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので」(創3:17)土地はのろわれた.
モーセが民に契約の書を読み聞かせた時に,民は「主の仰せられたことはみな行ない,聞き従います」と答えた(出24:7).
このように,このことばは人に聞き従う場合にも,神に聞き従う場合にも用いられる.
従順に関する旧約のハイライトの一つは,サムエルを通して語られたことばであろう.
「主は主の御声に聞き従うことほどに,全焼のいけにえや,その他のいけにえを喜ばれるだろうか.見よ.聞き従うことは,いけにえにまさり,耳を傾けることは,雄羊の脂肪にまさる」(Ⅰサム15:22).
神は,民が神とみことばに従順であることを喜ばれ,また求められるのである.
2.新約聖書の例.
用語としては,やはり,いろいろな関係に用いられる.
人や制度,権威に従うことにも,主に従うことにも用いられる(ロマ13:1,エペ5:24,Ⅰペテ1:2).
風や湖がイエスの言うことを聞き(マタ8:27),汚れた霊でさえ,イエスの新しい教えに従った(マコ1:27).
また,キリストに従うように主人に従うこと(エペ6:5),両親に従うこと(エペ6:1),福音に従うこと(ロマ10:16),教会の指導者に従うこと(ヘブ13:17,Ⅰペテ5:5)が勧められている.
新約においても,最も重要な従順とは,神(主)に対するものである.
それは,具体的にはみことばに聞き従うかどうかで表される.
この点,旧約の場合と同じであり,イスラエルの民の,主に対する従順と不従順の事例が引用された説教が記されている(Ⅰコリ10:1‐12,ヘブ3:7‐4:11).
主のみことばに従順であるとは,聞いて,それを信仰によって自分に結びつけることである.
また,そうしないことは,不従順の罪を犯すことである.
主は,従わない人には注意するように警告し(参照Ⅱテサ3:14),また,主の福音に従わない人は,終りの日にさばかれる(Ⅱテサ1:8)と言う.
主への従順と不従順のそれぞれの結果を回避することはできない.
従順の最高の模範は,神の御子でありながら十字架について死なれたイエス・キリストに見られる(ピリ2:6‐8,ヘブ5:8‐9).
主は,その従順のゆえに高く上げられた(ピリ2:9‐11)だけでなく,多くの人々を,「義人とされる恵み」にあずからせてくださるのである(ロマ5:19).